「エンゼルハート」
この映画が公開当時、私が好んで観ていたホラーといえば「フライトナイト」や「デモンズ」など特殊メイクが派手でいかにも“ホラー”というような作品が多かったのだが、この「エンゼルハート」はそういう意味では初めて深く心に残った「大人のホラー」という雰囲気を持った作品だった。
内容としては私立探偵のハリー・エンゼルがルイ・サイファーという謎めいた男から昔スターだったジョニー・フェイバリッとという歌手の行方を捜してほしいと依頼を受ける。ハリーは調査をしていくが、自分がたどったジョニーの関係者が次々殺され、その先に待ち受けていた驚愕の真実とは…?というストーリー。
一見50年代アメリカのハードボイルド探偵ミステリーのような雰囲気を持ちつつ、怪しげな宗教儀式の描写など監督・アラン・パーカーの作り上げたダークで恰好良い映像とトレヴァー・ジョーンズの悪魔的なジャズ曲が組み合わさり、けっしてグロで過激な映像の見せ場があるわけでもないホラーながら、じっくりとした闇と悪のイメージを表現した秀逸なホラー映画だと思う。
さらに主人公ハリーを演じるミッキー・ロークの持つ退廃的な「悪」のイメージ、謎の顧客ルイ・サイファーを演じるロバート・デニーロの持つ荘厳な「悪」のイメージの演技対決も見逃せない。
最後にこれはちょっとネタバレになるかもしれないが、昔TV放送された時の吹替の台詞である登場人物が言う台詞が凄く心に残っている。
「命の価値はどこにある?かりそめだけの愛や憎しみか?肉体は弱いものさ。魂だけが不滅だ。君はそれを私に売ったのだ。」
「エンゼルハート」
ANGEL HEART
1987年 アメリカ/113分
監督: アラン・パーカー
製作: アラン・マーシャル
エリオット・カストナー
製作総指揮: マリオ・カサール
アンドリュー・ヴァイナ
原作: ウィリアム・ヒョーツバーグ
脚本: アラン・パーカー
撮影: マイケル・セレシン
プロダクションデザイン: ブライアン・モリス
美術: アーミン・ガンツ
クリスティ・ズィー
衣装デザイン: オード・ブロンソン=ハワード
編集: ジェリー・ハンブリング
キャスティング: リサ・ブラモン・ガルシア
ビリー・ホプキンス
音楽: トレヴァー・ジョーンズ
出演: ミッキー・ローク
ロバート・デ・ニーロ
リサ・ボネット
シャーロット・ランプリング
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